佐藤様は
土地をいくつかお持ちの地主さんで、"相続人の仲がよくないから遺言書を残したい"とのことでした。
【佐藤様のご希望】
相続税対策は今までしっかりやってきたので、今度は"もめない相続"の対策をしっかりやりたいとのこと。
遺言書作成のために、財産についてお伺いしていたところ、
土地の境界についてお隣さんともめている箇所があることが判明。
さらに、古くから持っていて、お隣さんとの境がわからない土地もあることが判明。
当事務所では、確定測量も行っており、確定測量は税金対策にもなる事をご説明。
また、遺言書を残しても、なお相続人の間で、もめそうなので心配である
という事なので、遺言執行業務についてもご説明致しました。
確定測量が済んでいない土地について確定測量を行い、公正証書遺言を残し、遺言書の中で
遺言執行者として指定していただきました。確定測量をして、お隣さんともめ事になっていた
土地についても境界が確認でき、境界標を埋設しましたので、当事務所をご安心いただけました。
また、相続人がもめないように、広い土地については、事前に
「どの相続人」が「どの部分」を相続するのかを決めていただき、分筆登記を行いました。
登記簿上の地積(土地の面積)より実際の地積の方が小さい土地もあることが分かり、
その土地については地積更正登記をし、固定資産税の節税にもつながりました。
遺言執行者として当事務所をご指定いただいたことにより、相続後のもめ事に関するご心配もだいぶ
軽減されたようです。
不動産をお持ちの方で、お隣さんとの土地の境界についてご不安が
ある方は、相続前に確定測量をなさる事お勧め致します。
相続後にお隣さんともめ事になり、確定測量をする事になっても、
相続人が嫌な思いをするだけでなく何の相続対策にもなりません。
相続前の確定測量も"もめない相続"の1つであると言えます。
佐藤様のように遺言書を残してもなお、相続人様の状況などに
よっては、相続についてご不安を感じる方も多いかと思います。
そのような場合には、遺言内容を確実に実現するためにも、
相続に強い当事務所を遺言執行者としてご指定してください。
相続に関する"お悩み"が解消されたことにより、随分お気持ちが
楽になるかもしれません。
当事務所は、幅広い業務範囲と専門知識を持ち合わせておりますので、
お客様の様々な相続に関する"お悩み"に、適切なアドバイスを
させていただきます。
田中様の財産は
比較的広い土地(約250㎡)と建物、その他の財産は預貯金のみ。
息子様はそれぞれ仕事で大阪・名古屋に出張しているため同居しておらず、
今後も同居する予定が無いとのこと。
【田中様のお話】
旦那様が亡くなった際には、遺産分割協議で田中様が土地と建物を全て相続したが、自分の死後には、
なるべく息子様たちに均等に財産を残すような遺言書を作成したいとのこと。
なお、建物は老朽化が激しいため、自分も死後は取り壊すことが決まっているとのことでした。
土地が比較的広いことと、その他の預貯金などを比較した結果、土地・建物を
どちらかが相続し、その他の預貯金をどちらかが相続するのでは、あまりに均衡が
取れない旨をお話し、土地を分割(分筆)したうえで遺言書の作成をアドバイス。
土地を均等に二つに分割(分筆)したうえで、分割した土地をそれぞれ長男のAさんと次男のBさんに
相続させ、さらにその他の預貯金についても葬儀代や建物取り壊し費用などを差し引いた残額について、
均等に相続させる旨の公正証書遺言書を作成。
いくら均等に財産を分けたくても、1つの不動産を均等の持分で
相続するのはあまりお勧めできません。
相続人様が、それぞれご家族をお持ちである場合などは、
1つの不動産を一緒に使用する事は考えにくいですし、
不動産の持分をお持ちですと、実際に使用されていない相続人様にも
固定資産税の連帯納付義務が生じてしまいます。
また、不動産を売却したり、ご融資を受けるために担保に入れる場合も、
持分を持っている方全員で決め、全員でお手続きをしなければならず、
色々不都合が生じる場合があります。
原則的には、被相続人様(田中様)とご同居の相続人様がいらっしゃれば、
相続税が安くなる特例もございますので、そのご同居の相続人様が
土地及び建物を相続なさることをお勧め致します。
しかし、今回は田中様が息子様達の世話にはなりたくないから
同居もしないし、同居の予定も全くないとのことでしたので、
土地を分割(分筆)して、それぞれの土地について相続させる旨の遺言を
残すことになりました。
後々、もめ事にならないように、遺言を公正証書で作成したのも
ポイントの1つです。
当事務所は、お客様のご要望を尊重したうえで、現状やこれからの
展望などもお聞き致しまして、最適な相続プランをアドバイスを
させていただきます。
ご主人が2か月前に亡くなられ、悲しみにあけくれているところに消費者金融からの
督促状が届くようになってしまいました。
ご主人が借入をしていたのは以下の通りのようです。
・A社97万円
・B社103万円
・C社42万円
・D社63万円
合計約305万円
【池田様のお話】
私ももう働いておりませんし、こんな金額を支払い出来ません。
でも借金も相続されるんですよね?だったら自己破産するしかないのでしょうか?
今までつつましく暮らしてきたのに今更こんなことになるなんて・・・
正直、主人の兄弟の方々とはあまり仲が良くないので出来ればこの話をしたくありません。
なんとかならないでしょうか?と、かなり気が滅入っておられました。
まず、第一にご提案したのがご主人の借金の債務整理です。
池田様はご主人の相続人なので、ご主人が亡くなった後も相続人としてご主人の
債務整理をすることが出来ます。
ご主人がお借入されていた業者にデータの提出を求めることで、ご主人が払いすぎていた
違法金利がいくらあるのかを計算することが出来ます。
払い過ぎになっていた金利は、残っている借金に充当されます。その結果、
借金が大幅に減ったり、ゼロになる例も多数ございます。
(借金が減る仕組みについてはその他業務・任意整理をご覧ください。)
第二にご提案したのは相続放棄です。
借金を相続してしまった場合、自己破産をしなくても相続放棄という手段を使えば借金の返済は
しなくて済みます。
債務整理をしてみて、借金が残ってしまったら相続放棄をしましょう。という方針で、
長女のAさんからも委任状をいただき、ご主人の借金について詳しく調べたところ、
払いすぎになっていた利息が発生していたため、借金が全てなくなりました。
借金を相続してしまった場合には、相続放棄という方法が1番多く
利用されています。
これは、裁判所に申立てをして最初から相続人にではなかったことにして
もらう手続きになります。
大変便利な制度ではありますが、相続放棄をするとプラスの財産が
少しでも残っていた場合にその財産は受け取れなくなります。
また、相続放棄は自分1人がしても、その他の相続人には一切効力は
及びません。
ですから、本例の池田様の場合、池田様だけが相続放棄をしても娘さんに
借金が相続されますし、池田様と娘さん2人が
相続放棄をしても、ご主人の親御さん、親御さんが亡くなっていたら
ご主人の兄弟姉妹に順番に相続権が移っていきます。
池田様はご主人のご兄弟にご主人の借金のことを出来れば話したくない
とのことでしたので、まず債務整理をしてみて、借金が
残ってしまった場合には相続放棄をしましょうという形でお話を
進めさせていただきました。
もちろん、債務整理をしても借金がなくならない場合もございますので、
その場合には相続人になる方全員で相続放棄をしたり、
お支払能力がある方に払っていただくという形をとることになりますが、
相続放棄を検討する前に、1度債務整理をしてみることを
おススメいたします。
ご主人が亡くなられ、家族構成は山田様と息子さん2名でした。
ご主人がお亡くなりになられた際に保有していた財産は以下のとおりです。
・横浜市内の土地・建物(現在山田様とAさんが住んでいます)
・川崎市内のマンション1室
・預貯金 約2000万円
【山田様と息子さんのご希望】
山田様ご自身は
「私は特に何もいりませんし、どうせもらっても私が亡くなれば息子達のものになるので、
息子2人で全て分けて欲しい。」とのことでした。
また、息子さん達は「母親がそう言っているのでその通りにしたいと思います。
また、自分たちも特に取り分に希望はありませんので、全て半分ずつ相続したいと思います。」
とおっしゃいました。
息子さん達のご希望通りに「全てを半分ずつ」にすると、
土地・建物・マンションについて全て2名で所有することになり、
例えばマンションを売りたいと考えた時には2名で協力して売却をしなければなりません。
よって、山形県にお住まいのBさんが不動産の名義を持っていると、
お手続きの都度こちらに出向いていただくことになり、大変ではないかという
お話をさせていただきました。
上記お話をさせていただいた結果、横浜市の土地と建物・川崎市のマンションはAさんに、
預貯金2000万円をBさんが受け取るという形でお話がまとまりました。
不動産を相続した際、今後その不動産をどう活用するのかを決めて
いらっしゃる方はほとんどおりません。
不動産は居住用に利用することはもちろん、売却して現金にしたり、
賃貸して家賃収入を得たり、事業を始める際に担保に入れたりと様々な
形で利用することが出来る財産です。
「今後どうするか分からないからとりあえず半分ずつ名義を入れておけば
良いのではないか」というお考えで相続登記をしてしまうと、後に煩わしい
手続きが発生することもございます。
本事例のBさんは、山形県で事業をしており、今後神奈川県に戻る
可能性は少なく、また繁忙期にはこちらに戻ってくることもなかなか
出来ないとのことでした。
当事務所では、依頼者様のご希望は尊重させていただいた上で、
今後の見通しについてもお聞かせいただき、最適なプランのご提案を
いたしております。
工藤様はご自身で会社の経営をされています。
当事務所には役員変更の登記のお手続きでご相談に来られました。
この度、工藤様の長男であるAさんを取締役に迎え、近いうちにAさんに事業を任せる
ご予定でした。
その際、相続対策について「何かしておいたほうが良いかな?」とのご質問を受けましたので、
状況を詳しく伺ったところ、会社の所在地の土地は工藤様個人のご名義になっている
とのことでした。
会社の所在地の土地が工藤様の個人のご名義なので、遺言書がないまま相続が発生すると
・Aさん(4分の1)
・Bさん(4分の1)
・Cさん(2分の1)
にそれぞれ土地の権利が発生します。
しかし、上記のような持分で相続登記をしてしまうと今後代表取締役になる
Aさんの持分は少なく、会社が事業資金のお借入を行う際にご融資が
受けられなかったり、希望金額に達しない場合も出てきます。
工藤様がお亡くなりになった後も会社がスムーズに経営をしていくためには、
会社所在地の土地はAさん1人が相続できるように遺言を残しておくことをオススメしました。
会社の所在地の土地と株式はAさん1人に、その他の財産をBさんとCさんに相続させるという内容で
遺言書の作成を行いました。
また、遺言執行者として当事務所の司法書士を指定しました。
個人事業主の方や会社経営者の方は、相続対策として個人の財産を
散財させないことはもちろん、会社の存続についてや節税対策も
お考えにならなければなりません。
また、ある程度の利益を上げている個人事業主の方などは株式会社を
設立した方が良い事例などもございます。
本事例の工藤様の場合は遺言書を残すことをおススメしましたが、
ケースによっては、相続が発生する前に不動産を会社名義にするほうが
節税につながる場合もあります。
当事務所は個人・法人ともに節税対策も含めた相続対策に精通して
おりますので、ぜひご相談ください。
本田様のご主人が昨年亡くなられ、遺言書はなく、土地と建物がいまだご主人の名義に
なっておりました。
【本田様のお話】
昨年主人が亡くなり、土地と建物がいまだに主人の名義になっています。
息子2人が「母さんの名義にしたら良い。」と言ってくれたので、相続登記を自分ですることにしました。
しかし、市役所の無料相談に行き次男に知的障害があるということをお伝えしたところ、
司法書士に「Bさんに後見人をつけないと相続登記は出来ませんよ。」と言われてしまいました。
仕方なく裁判所に行き、申立書というものをもらってはきましたが、何をどう記載すれば
良いのかよくわかりません。
なんとか記載を済ませて裁判所に出向きましたが、訂正箇所があまりに多く疲れてしまいました。
もう専門家にお任せしたい。
とのことでした。
ご主人は遺言書を残されておりませんでしたので、本来土地と建物について
・本田様(2分の1)
・Aさん(4分の1)
・Bさん(4分の1)
の相続権が発生します。
この取り分と別の取り分で登記をする場合には、「皆この取り分で納得しています。」という書類を作成し、
ご実印で捺印をしなければ相続登記をすることは出来ません。
この書類を作成するには「本人の意思に基づいて」ご実印で押印していただく必要があり、
知的障害のあるBさんについては、Bさんに不利益な書類を作らないように動く代理人(後見人)が
必要になります。後見人を選ぶのに裁判所に書類を提出しますが、素人の方がご自身で後見の申立てを
するのは大変な労力が必要になります。
よって、当事務所でこの申立てをし、登記に書類等の作成も全て整え、相続登記をいたしました。
後見人という言葉はあまり耳慣れないものですが、相続関係の場面では
意外と必要になることが多いものです。
本事例の知的障害だけではなく、お年寄りの認知症などご自身で
意思表示をすることが難しい方がお手続きに関わる場合には
必ず必要になります。
しかし、必ず必要になるお手続きとはいえど、書類が複雑で
かなりの手間がかかるものなっており、ご自身で作成するのは困難である
といえます。
また、意思表示の出来る・出来ないがどの程度のものかによっても
代理人の選び方が変わってきますので、専門家に依頼をしたほうが
安全・安心といえるでしょう。
お兄様が亡くなられたケースです。
お兄様は子供はおらず、ずっと独身でいらっしゃいました。
また、川田様のご両親もすでに他界しています。
お兄様はご自身でお買い上げになったマンションをお持ちでした。
この場合には兄弟姉妹に相続権が発生しますので、川田様・Aさん・Bさんで
お話合いの上、マンションのご名義は川田様にするということでお話がまとまりました。
しかし、当事務所で戸籍の調査をしたところ、川田様にはもう一人、Cさんという
お兄様がいることが分かりました。
Cさんは20年以上も前に家を出て以来、音信不通とのことです。
【川田様のお話】
兄であるCとは私もAもBも、もう20年以上連絡をとっておりません。
どこにいるのかも分かりません。勝手に出て行って連絡のひとつもよこさないんですから、
私たちだけで決めても問題はないでしょう。とのことでした。
残念ですが、戸籍の記載上相続人であることが明らかな方がいらっしゃる場合には
その方を除いて遺産の取り分を決めることは出来ません。
本事例の場合、行方不明のCさんが
「自分は何もいらないから勝手にやっていいよ。」とおっしゃったとしても、
Cさんのご実印をいただく書類が必要です。
川田様からするとご不満なお気持ちも分かるのですが、こちらでご住所宛てにお手紙を送ってみるので
待ってくださいということでご了承いただきました。
戸籍の調査をしてCさんにお手紙を送ってみたところ、マンションのご名義は川田様・A
さん・Bさんのお話合いの通りに進めてもらって構わないとのことでしたので、至急書類
の作成を行い登記の申請をいたしました。
本事例は本当に運が良く、1番スムーズに事が運んだ事例でした。
戸籍を調べてお手紙を送ったとしても、郵便物が返ってきてしまうことも
あります。その場合には、行方不明の方が実際にいなくても
財産を分けることができるよう「不在者財産管理人」(行方不明の方に
代わって話し合いに加わってもらいます。家庭裁判所で選ばれます。)
の申立てをしたり、そもそもご住所が分からず何十年も経っている場合には
「失踪宣告」(法律上死んだことにしてもらう手続きです。)の申立てを行う
場合もあります。また、行方不明が長かったからといっても、
必ずしも本事例のCさんのようにすぐ
ご納得いただけるとは限りません。
自分にも取り分があると分かるとなかなか印鑑を押してもらえない場
合もございます。
そのような場合には粘り強く交渉を続けるしかありません。
また、本事例は行方不明のお兄様でしたが、亡くなった方に万が一
隠し子がいた場合も同様の理論で、相続人から外すことは出来ません。
戸籍を読むのは大変難しい作業になりますので、専門家である司法書士
に依頼するのが1番です。
戸田様は個人事業主です。お父様が亡くなられ、すでにお母様も亡くなっていたので相続人は戸田様と
お兄様でした。財産としてはお父様のご名義の土地と建物がありました。お父様が亡くなられた際に、
お兄様から口約束で「土地と建物はお前が相続すればいいよ。」と言われたものの、
わざわざお金をかけてまで登記をするのも面倒だという理由で登記の名義は何もせず放っておきました。
その後10年が経過し、お兄様も亡くなられました。
ちょうどこの頃、戸田様の事業が傾きかけ、戸田様はお父様から相続した土地と建物を売却して運転資金に
しようと考えたのです。
ところが、売却のために相続登記をしようとしたところ、お兄様のお嫁さんから
「私にも取り分があるじゃないか。」と言われ、書類に押印してもらえませんでした。
【戸田様のお話】
兄は個人で事業を営んでいる私を気遣って、父親名義の土地と建物は私が相続していいと言ってくれました。
確かに口約束だけなので、書類を整えたりきちんと登記はしていません。
しかし2人の間ではちゃんと話がまとまっていたわけで、この土地と建物は私1人のものなはずです。
相続登記をしてくれないと困るのですが・・・。
お兄様のお嫁さんのおっしゃる通り、本事例の場合にはお嫁さんにも取り分が発生します。
(本事例ではお兄様にお子さんはいなかったのですが、お子さんがいる場合にはその
お子さんにも取り分が発生します。)10年前にお兄様と戸田様の間で
お話がまとまっていたとしても、登記が入っていないと法務局は登記と
戸籍の内容通りに相続人を判断します。
よって、お嫁さんを除外して勝手に相続登記を入れることは出来ないので、
売却代金からいくらかお嫁さんにお渡しするという説得をしてみてはどうか、
とお話をさせていただきました。
売却代金の3分の1をお渡しするという内容でお嫁さんにご納得いただき、書類を整え、
無事に相続登記をすることが出来ました。
「面倒だから」「お金がかかるから」
「相続登記はしなくても罰金があるわけではない」というお考えで
相続登記をしなかったために後にトラブルになってしまうケースの1つです。
本事例では取り分が発生したのはお兄様のお嫁さん1人のみでしたので
比較的スムーズに登記が完了しました。しかし相続登記をしないまま
20年・30年と経過してしまうと話合いに参加しなければならない相続人は
確実に増え、ケースによってはほとんど顔を合わせたことのない方と
お話合いが必要になる場合も出てきます。
当事務所で扱った案件の中には「お兄様のお嫁さんの弟さん」との
お話合いが必要だった事例もありました。相続登記をしないで放っておくと、
運が良ければ何も損をしなくて済むかもしれませんが、
何か得をすることは絶対にありえません。
そして、自分たちが損をしなかったとしても、相続登記を怠った代償は必ず
子供・孫の世代にしわ寄せが行くことになります。
相続発生から何年も経ってしまうと、
それこそ登記をするのが面倒になってしまいます。
相続が発生したら、その他の手続きと一緒に登記も済ませてしまうのが
1番良いでしょう。
ご主人が亡くなられました。相続人は今井様と長女のAさんになります。
今井家は5年前にマイホームをご主人のご名義で購入しておりました。
【今井様のお話】
団体信用生命保険に加入していたおかげで、住宅ローンの残債務については支払い義務がなくなりました。
住宅につけた抵当権の抹消をしたいので、同時に相続登記もしようと思います。
娘はまだ10歳なのでとりあえず私の名義にしようと思うのですが、
何をどう準備すれば良いのでしょうか?
未成年者の法律行為については法定代理人が代理をしたり同意をしなければなりません。
今井様はAさんの母親ですので当然に法定代理人になれますが、
遺産分割協議に関しては今井様はAさんを代理して話し合いをすることは出来ません。
「今井様」と「Aさんの代理人の今井様」、結局同一人物が話し合いをすることに
なるからです。この場合には家庭裁判所に申立てをしてAさんの特別代理人を選任し、
その方と協議をしなければなりません。
家庭裁判所に特別代理人選任の申立てをし、
今井様のお兄様(Aさんにとっての叔父)が特別代理人に選任されました。
その後、ご主人のご名義であった不動産を今井様1人のご名義にするという協議書を作成し、
相続登記をしました。
本事例の場合、ご主人様は遺言を作成していなかったので
今井様2分の1、Aさん2分の1の取り分が発生することになり、
この取り分以外で相続登記をしたい時には皆で話し合いをし、
「この取り分で納得しています。」という書類を作成し、
実印で押印をしなければなりません。
この場合に母親(又は父親)が未成年者の代理人を務めて
良いということになると、結局同じ人物が話し合いを
することになり(=話し合いにならない)、未成年者の利益の保護が
出来なくなってしまいます。
よって、家庭裁判所で相続人ではない方を特別代理人に選任してもらい、
話し合いをすることになります。ちなみに未成年のお子さんが
複数いる場合には人数分特別代理人を選任することになります。
1年前にご主人が亡くなられ、特に財産と呼べるものもなかったため、何もしないでいたところ、
ここ数か月の間、金融会社から督促のハガキや手紙が来るようになりました。
ご主人のご両親はすでに他界しており、兄弟姉妹は妹のCさんのみでした。
【清田様のお話】
主人は生前個人事業主であったため、様々な金融機関と取引がありました。
でも、亡くなる前に「すべて支払いは終わっている。」と言っていたので
何も心配していなかったのですが・・。主人が亡くなったのはもう1年も前のことですし、
何かの間違いではないんですか?仮に間違いではなかったとしても、
借金の返済を出来るような生活の余裕はありません。どうしたら良いのでしょうか?
池田様と同じように、
まずはこちらで調査をさせていただき、その後でご主人の債務整理を
するか相続放棄をするか決定しましょう。というお話をいたしました。
ご主人の借入先に調査をしたところ、お借入残高が残ったままお亡くなりになられていたことが
判明いたしました。また、ご主人は低い金利で借入ができる会社だけを選んでいたので、
1年分の延滞料を含めると約450万円の借金が残ってしまうことになりました。
清田様とAさん・Bさん・Cさんにお集まりいただき、債務整理をしても多額の借金のお支払が
残ってしまうこと、及び全員で相続放棄をしないと督促状が届くのを止めることが出来ないことを
ご説明いたしました。
(※ただし、全員同じタイミングで放棄は出来ません。
まずは相続第一順位の清田様とAさん・Bさんが相続放棄し、第二順位のCさんに相続権
が移ってから申立を行います。無事に全員の相続放棄が認められ、借金の支払いを回避することが
出来ました。
相続放棄は原則として「相続があったことを知ったとき」から
3か月以内にする必要があり、何もしないまま3か月を過ぎてしまうと
相続放棄は出来なくなります。
しかし、借金があることをご家族に内緒にしている方は多く、
また金融会社も「家族に内緒です。」という届出がある方に関しては、
よほどの滞納がない限りご家族にバレてしまうような督促は
なかなかしてきません。
ですから、本事例の清田様の場合のように、借金があったことを
全く知らなかったような場合には、例外的に3か月を過ぎていても
相続放棄が認められる場合があります。ただし、この例外についても
「親(配偶者)の借金の存在を知ったとき」から3か月以内という
期間制限がありますので、督促状などを発見してしまった時には
1日も早くお手続きをされることをおススメします。