前回、栄吉さん(80)はご自分が亡くなった後、息子達の負担軽減について考え分筆登記を行いました。
ここで、なぜ栄吉さんが分筆を行ったか少しお話させて頂きたいと思います。(前回の記事はこちら)
栄吉さんの財産は、住んでいる土地と建物、100坪の土地、預貯金500万円です。
自宅の土地(5,000万円)/自宅の建物(1,000万円)/100坪の土地(6,000万円)の価値があったとしましょう。
栄吉さんが亡くなった場合、奥様は既に他界されているので二人の息子に相続されます。
栄吉さん亡き後、下記のような対応が予想されます。
1 土地と建物、100坪の土地、全てを兄弟の共有名義にする。
2 全ての不動産を兄名義にし、兄から弟へ半額(6,000万円)の金銭を渡す。
3 土地と建物を兄が、100坪の土地を弟がそれぞれ相続する。
※いずれの場合も預貯金は250万円ずつ折半する。
一般的には、上記のように兄弟で分けることが多く見受けられます。
けれど、2番って結構難しいですよね...6,000万円をポーンと払える方は限られてきます。
また、1番の共有名義にした場合、二人の了承がない限り売却したり建物を建てたりできないんです。せっかくの資産をそのままにしておくのはもったいないですよね。
だったら、3番か!となりますが、現実はこんなにきれいに価値が半分ずつになることはほぼありません。
ですので、前回お話しした栄吉さんのように相続対策として、『分筆』という作業を行っておくことが重要になってきます。
分筆しておくことで、兄弟それぞれの名義にできますので、各自で売却や資産運用ができます。
今現在は何の問題もなく仲良くしている兄弟ですが、相続の話が出た途端に兄弟の仲が崩れてしまうことは多々あります。
兄弟の配偶者が話に入ってくることも多々ありますし、お金の話となると目の色が変わりますよね(笑)
それに、昔に比べ医療が発達しているし元気だから、相続なんて先の話だよ。と考えていても事件や事故に遭う可能性だって考えられます。
私は大丈夫!と思っているそこのあなた!!!
子供たちに不要な争いや負担をかけないよう、しっかりと相続対策の為に遺言を残しておきましょう!
遺言はあなたの財産を、あなたの考えで明確に分け与えるための大切な意思表示です。
あなたの書いた遺言の内容に沿って、しっかりと相続分配をさせるためには、法的に不備のない遺言が必要となります。
遺言については、今後詳しく書かせて頂きますね。
ユニバーサル総合事務所 田中