何度か登場して頂いている栄吉さん(80)にまたしても登場して頂きましょう。
分筆登記を終え、悩みが解決したと思えた栄吉さんですが、普段から身の回りの世話をしてくれている姪っ子にも気持ちだけ残してあげたいと考えています。
その時、兄弟が揉めないよう司法書士に頼み法的に不備のない遺言書を残すことにしました。
遺言書を残すことで、本来であれば相続権のない姪っ子にも相続させることが可能となります。
ですが、書き方よっては無効となる場合や、せっかく残した遺言書の存在に気づかれず意思に反する遺産分割がなされることにもなりかねません。
あなたの大切な財産を「誰に」「どれだけ」相続させるのか明確にする為にも、遺言書は専門家の指示の下、法的に不備のない遺言書を残すことをお勧めします。
ここで軽く遺言書の種類について説明しますね!
①自筆証書遺言:全文、日付、氏名を自署し、押印することで完成です。
自分で簡単に作成できますし、遺言の内容を秘密にしておけます。
ですが、法定の方式を守らないと、無効となる場合があります。
また、相続発生後、開封前に家庭裁判所で検認を受けなければなりません。
②秘密証書遺言:自署での署名・捺印があれば全文はワープロでも可。
作成済みの遺言書を持ち、証人2人以上を連れて公証役場へ行き所定の手続きを経て完成です。
作成費用がかかりますが、遺言書の存在を認められるだけで、中身についての確認はありません。
デメリットは自筆証書遺言同様、無効になる場合があります。
相続発生後、遺言書の開封前に家庭裁判所で検認を受けなければなりません。
③公正証書遺言:公証役場にて、2人以上の証人の前で遺言の内容を口述し、公証人が筆記して作成する方法です。
証人がいる為、内容は秘密にできませんし、成費用がかかります。
ですが、役場にて原本を保管する為、紛失の心配や遺言書の存在、内容について争いが無いといったメリットがあります。
相続発生後、家庭裁判所での検認を受ける必要はありません。
※書式や細かい記載方法については省略しております。
いかがですか?遺言書と一口に言っても上記の3つの方法があるんです。
みなさんならどれを選択しますか?
「お金をかけてまで残したくないから自筆証書遺言にするわ」
『自分で書いて無効になるかもしれないならドーンと公正証書遺言を残しちゃおう!』お考えはそれぞれかと思います。
ですが、気を付けてください!!
上記に挙げた3つの方法すべてにおいて注意しなくてはならない点が2つあります。
注意点①
遺留分に注意して遺言書を作成して下さい。
というのも、民法では相続人が最低限相続できる財産について保証しています。これを遺留分と呼びます。
なので「A男には1円もやらん!!」と言っていても、この遺留分の割合に関してA男には相続する権利があるのです。
注意点②
度書いたからと言って安心してはいられません。遺言書はメンテナンスが必要なんです!
仮にですが、前述の栄吉さんが、子供(兄):子供(弟):姪っ子=4:4:2と相続させようと平成20年7月1日に自筆証書遺言を作成しました。
ですが、最近になって、子供(兄)が栄吉さんに多大な迷惑をかけました。これにより栄吉さんは子供(兄)に残す分は最少にし、その分姪っ子に残すことにしました。
ですが、子供(兄):子供(弟):姪っ子=2:4:4の割合の遺言書を新しく作成する間もなく栄吉さんが亡くなってしまった場合、最新の日付の遺言書(平成20年7月1日作成の遺言書)通り相続が行われてしまいます。
注意点②に関しては、ご自身での意識が重要となりますね。
10年前の遺言書の内容は、現在のあなたの意思に沿っていますか?財産の増減はありませんか?
遺言書は、あなたの最後の意思表示です。定期的に考え直してみるのもとても大切なことです。
注意点①に関しては、専門家であるユニバーサル総合事務所にご相談ください。
あなたの心配事や困っている事を親身にお伺いし、より良い未来のために一緒に考えさせて頂きます!
ユニバーサル総合事務所 田中