土地家屋調査士は、既存の事務所(土地家屋調査士法人など)の中に就職して働くことも出来ますが、独立開業のしやすい資格でもあります。また、専門の学校に行っていなくても、全く別の道からでも努力次第で参入できるのも大きな特徴です。
国家資格であり業務内容は責任の大きいものばかりなので簡単ではありませんが、独立までの道のりを紹介します。
土地家屋調査士になるためには、当然試験に合格する必要があります。他の難関資格のように、実務経験を必要とはしませんので実務経験がなくても受験でき、合格後直ちに土地家屋調査士連合会に登録することが可能です。
この登録を行うためには、業務を行うことができる準備をして調査士会に入会し、連合会に届出をしなければなりません。
仕事として調査士をする予定はまだ無いけど、とりあえず登録だけしておくということはできません。調査士試験に合格したけど登録をしていない者は「土地家屋調査士となる資格を有する者」であって、「土地家屋調査士」を名乗ることは許されません。
合格率を見ると10人に1人も合格しないということになります。ですが合格者の平均年齢は39歳と、働き盛りの会社員が仕事をしながら傍らで勉強に励み、受験しているということがわかります。
他の国家資格のほとんどは専門学校や大学など、学生が受験するのに対し、大きな違いが見られます。その傾向もあってか合格率こそ高くないですが、しっかりと勉強すれば手が届く資格です。
冒頭で述べたように受験するにあたり実務経験が問われない分、測量の実務経験がない状態で土地家屋調査士になることが出来てしまいます。
調査士は表示登記に関する専門家なので、登記と測量に関する幅広く深い知識が必要なのは言うまでもありません。特に測量実務についてはほとんど習わないまま調査士として登録できてしまうため、どこで実務経験を積むのかが大きな課題として上がってきます。
実務経験を積むには一定期間どこかの事務所に就職して実務を習得する方法と、お金を払って研修により経験を積む方法があります。
とりあえず絶対に必要なのは、測量備品、CADソフト、境界杭、入会登録費用、パソコン、スキャナー、プリンターなどの事務用品です。
加えて自宅以外に事務所を構えるのであれば事務所家賃、営業周りや現場までの足となる自動車等も必要になります。開業してすぐに仕事が入ってくるとは限らないため、しばらくは食べていけるくらいの蓄えも必要となります。
独立開業でもっとも重要なのは、顧客をどれだけ確保できるかです。
一般の方がトラブル以外で土地家屋調査士に業務を依頼するのは、新築を建てたり土地購入の時くらいですので、土地家屋調査士の顧客は基本的に継続的な顧客(リピーター)となりません。
このような施主や土地購入者を紹介してくれる、工務店や不動産業者が継続的な顧客となるのです。
建設コンサルタントや測量業者などの会社は、会社内部に土地家屋調査士を抱えずに外注して対応することが一般的です。そのため、建設コンサルタントや測量業者も、継続的な顧客となり得ます。
これらの継続的な顧客は、独立開業してから探したのでは間に合いません。いくら開業時の経費が余りかからなくても売り上げがなければ貯金を取り崩さなければならないからです。
そのため、独立開業前からよい仕事をして認めてもらい、少しずつでも付き合いを深める、信頼を得るといった種をまいておく必要があります。